2015/05/13

「やじろべえ」体験 遠山周平氏

先日、服飾評論家の遠山周平先生が、船橋が提唱するフィッティング理論「やじろべえ」の体験にいらして下さいました。

遠山先生と船橋は、船橋がローマでサルトをやっていた時からのお付き合いです。また、遠山先生がMen's Ex 1997年1月号に執筆いたしました「はじめてのサルトリア・イタリアーナ」という記事で、ミラノ時代の船橋にオーダーした服の感想や、他のイタリアのサルトと船橋の舌戦?!の内容などが載っています。こちらの記事はイプシロンのホームページのPressページの一番下に掲載しておりますので、是非ご覧ください。→サルトリアイプシロンホームページ

では、18年前、「完璧なフィッティング」と評してくださった船橋のフィッティングが、どのように進化したかを体感していただきます。
ゲージを使用します。まずはそのまま着た状態です。



前は割と綺麗ですが、背中はやはり遠山先生の体型に合っていない部分が顕著に見て取れます。

ここから補正をします。

肩を外し、前後のバランスと角度が合うように調整致します。


補正完了です。
補正前と比べると背中、特に肩周りが変わっております。

この前後のバランスが取れて初めて服のラインが出てきますので、ウエストを絞る等のシルエットの調整は最後にしないと意味がありません。


座っても肩に乗っています。
バランスが合っているとボタンを外す必要がありません。
ばっちり「やじろべえ」になっております。

通常の御注文の際も、まず初めにゲージでのフィッティングを行い、その補正内容を反映させた型紙で最初の仮縫いをいたしますので、初めから高い精度で仮縫いが行えます。

体感した遠山先生は「肩を少しいじっただけなのに全然違う」と驚いておりました。

さらに、今回「やじろべえ」体験をしていただいた感想コメントを頂きました。

「約20年前にぼくが『世界中の仕立て屋を巡る』という取材を始めたときに、ローマでサルトリア・イプシロンを見に行ったのが船橋幸彦さんとの出会いです。ユキさんは、ずば抜けた才能をもつ若手テーラーでした。技術的なアイデアも素晴らしかったし、服作りの哲学もブレのない軸がありました。当時から「着る人それぞれの体型に合ったバランスのよい服は何物にも代え難いスタイルになる」という思想を持っていた。最近特許を取得した『やじろべえ』は、それを長い歳月と努力の末に理論づけたものなのだな、と感心しています。
今回そのフィッティングの体験をして感じたのは、経験と勘に頼った昔の仮縫いなどに比べて、よりシンプルでシステマチェックに進化していること。また補正後の姿を画像でわかりやすく伝えてくれるから素人のお客様でも安心納得でオーダーができると思います。『やじろべえ』は、単に服をカラダに合わせるというのでなく、体型の長短を吟味してバランスをとりながらフィッティングするため、着やすく美しい服ができる。完成した服のパターン(設計図)は、着る人の個性を反映したものなので、ぼくのようにさまざまなデザインを楽しみたい浮気症でも(笑)、それが通奏低音のようなスタイルとなって品位を保ってくれる。
 心地の良い刺激を受けることが少なくなった最近のメンズファッションにおいて、『やじろべえ』は素晴らしくゴキゲンな体験でした。」

遠山先生、コメント有り難うございます!

また、今回ご来店された際に、船橋と遠山先生の共通のお知り合いで、着道楽や食道楽として名を馳せた古波藏保好氏(Wiki)の写真も持ってきてくださり、生前の古波蔵先生の逸話もお聞きすることが出来ました。
船橋と古波藏先生との話もいくつかあり、そちらは船橋のブログ内エッセイSaggioの方で近々掲載したいと思います。