2016/06/30

サルトリアイプシロンのお客様ご紹介

いつも当店をご利用くださっているお客様をご紹介させていただくシリーズです(許可は頂いております)

第1弾は、青森県弘前市の「消化器内科 中畑クリニック」院長 中畑様です。(消化器内科 中畑クリニック )



中畑様は当店がまだ日本橋三越内に工房を構えていた頃にお越し頂き、そこから毎シーズン御注文いただいております。

ご自身で病院を経営され、院長として患者さんを見ていてかなりお忙しい方ですが、時間を作って何度もご来店いただき本当に有り難うございます。

まだ20代の頃、当時読んでいたMen's EX(当時はメンズ エクストラ)にイタリアでサルトを営んでいる日本人として船橋がよく登場していたのを見ていたそうです。クラシコイタリアブームの頃ですね。その後、船橋が三越に工房を構えたのを知りご来店くださいました。

中畑様は、所謂DCブランドブームからクラシコイタリアブームを通ってきた世代の方で、色々なスタイルを経てご自身のスタイルを確立されました。やはりこの世代の方達はファッションに対する情熱が半端ないですね。見習わねばと思います。

それまでも色々とイージーオーダーやビスポークなど試されていたそうですが、船橋の服を着て初めて「これがビスポークか」と感動したと仰っていました。有難いです。

写真で着て頂いているジャケットは、先日お納めした芯1枚仕様のジャッカカミーチャ仕立ての夏物ジャケットです。
今季特におすすめしているイタリア・アリストン社のウールモヘアのホップサック生地です。
芯も麻のメッシュ状の芯を使い、昨年までの夏のジャッカカミーチャよりも更に柔らかく涼しくなっています。

替え上着ですが今回はポケットはあえて両玉縁にしています。すっきり見えてエレガントです。

合わせたパンツはホーランドシェリーのスーツバンチ「Crispaire」から白ベースのピンヘッドです。ウール100%で打ち込みもしっかりとしていてパンツに最適な生地です。白ベースのピンヘッドというのも珍しいです。



こちらは今季春夏の最初に御注文いただいた3ピースです。(以前こちらのブログでもご紹介しております。)上記の紺ジャケットの中縫いの際に着て来てくださいました。合わせも抜群です。
ちなみにこのジャケットもジャッカカミーチャ仕立てです。

さりげなくされているネクタイや時計、シューズもそれぞれこだわりの物達です。シャツも御注文くださったものです。

そして、今回中畑様からサルトリアイプシロン及びジャッカカミーチャに関してのコメントを頂戴いたしました。

「サルトリアイプシロンで、初めて仮縫いをした時のことである。
袖を外し、上襟を外し、肩を外し、その後に私の体の上でバランスを取りながら再構築していく。最後に上襟にピンを打った瞬間、衝撃が走る。まさに首根っ子を掴まれた感覚。これが、やじろべえ理論の神髄である。当時、フィッティングに迷いがあった私にとって、フィッティングに対しての意識が変わった。目から鱗が落ちるとは、こういうことをいうのだ。
イプシロンのジャケットは軽い。物理的にも軽いが、体感的にとても軽い。
そして、ジャッカ・カミーチャである。最初は、単なる夏物のジャケットだと思っていた。しかし、ちまたの平面的なアンコンジャケットとは似て非なるものである。確かにペラペラであるが、まさに3Dともいうべき立体的な仕立てで、着ると全く貧弱に見えない。ジャケットにおいて軽さがこれほど快感であることに改めて驚かされる。軽いということが、着心地にとって絶対的善なのだ。
この軽さを経験すると、ジャケットの歴史的な構造がもはや意味をなさない。
ジャッカ・リヴォルツィオーネ(革命)である。」

素晴らしいお言葉、本当に嬉しいです。有り難うございます。

ちなみに中畑様は、ファッションと同時に日本酒にもかなり造詣の深い方で、日本酒の事も色々教えて頂いております。

中畑様、ご協力有り難うございました!
今後も顔出し可能なお客様はご紹介させていただき、シリーズ化できたらと思っております。









2016/06/29

長崎オーダー会のお知らせ

すっきりとしない梅雨空が続いておりますね。夏が待ち遠しいです。

さて、今週末の7月1日(金)~4日(月)まで、弊社代表船橋が地元長崎に出張致します。
その間の土日の2日間、長崎にてオーダー会を開催させていただきます。
東京以外でのオーダー会は初の試みです。

サルトリアイプシロン 長崎オーダー会

(日時) 7月2日(土)・3日(日) 10時~19時
(場所) 長崎県長崎市八百屋町10 (map)

※ご予約制ですので、お立ち寄りの方は下記までご連絡下さいます様お願い致します。

メール info@sartoriaypsilon.jp
TEL 03-6225-2257

サルトリアイプシロンがおすすめしている芯1枚ジャケット「GIACCA CAMICIA」に最適な夏物の生地バンチをはじめ、秋冬用のバンチも少しお持ちする予定です。

お近くの方は是非お立ち寄り下さい!



2016/06/27

Scuola di Sartoria Ypsilon 4回目

パンツ縫製教室4回目の授業風景をご紹介いたします。


第4回目の内容は「前ポケット作り」です。

前回授業の後ろポケットに関して当店では両玉縁ポケットが基本ですが、前ポケットは縦ポケット・斜めポケット・L字ポケット・斜め両玉縁ポケットの4種類あります。選ぶ基準はタックの有無や使い勝手、好みなど人それぞれです。
今回は生徒の皆さん全員ノータックのデザインですので、一番使い易い斜めポケットにされました。

斜めポケット参考画像



前回の後ろポケット作りは玉縁に割と手こずってしまい、袋の部分までは進めなかったので今回の前ポケットと同時に後ろポケットの袋の閉じも行います。




斜めポケットは生地が少しバイアスになっているので、作るのに少しコツがいります。そのあたりも色々お伝えしています。

ポケット作りと同時に前の開き部分のパーツも縫います。手縫いしている手さばきも様になってきてますね。



今回は授業終わりに船橋のジャケットについての講義?が急遽行われました。
生徒さんの一人が私物のビンテージのタキシード(ドイツ製、手縫い)を持ってこられたのがきっかけで、今と昔の縫いの違いやイタリアとイギリスの違いなどを、当店に飾ってあるビンテージのモーニングや古波蔵先生の服なども交えて色々と説明いたしました。

こういったこぼれ話も面白いですね。
内容の濃い時間でした。

次回は「脇入れ・ベルト付け」です。







2016/06/21

Scuola di Sartoria Ypsilon 3回目

先週の土曜に3回目のパンツ縫製教室Scuola di Sartoria Ypsilonが行われました。

3回目の授業は「後ろポケット作り」です。


我々のパンツ後ろポケット部分は、ダーツが2本、両玉縁というのが基本です。

この部分もブランドや作り手によって様々です。日本ではダーツ止まりがポケットより下に来るものが多いですが、我々はダーツがポケットより下で止まるという事はしません。


後ろダーツを縫い、抑えのステッチを手で入れてから玉縁ポケット作りです。






玉縁ポケットはやり慣れていないと難しいのですが、皆さんなんとかやっておりました。

和気あいあいと

今回は授業が玉縁ポケット作りだけなので、多少余裕をもってできたのではないでしょうか。

次回は前ポケット作りになります。






2016/06/12

Scuola di Sartoria Ypsilon 2回目

昨日2回目のパンツ縫製教室が行われました。

前回仮縫い組み→フィッティングまで行い、今回の2回目までにこちらでパターン修正をしていよいよ本縫い作業が始まりました。

2回目の内容は「付属揃え・ヒザ裏据え・ソプラマーノ(裁ち端手かがり)」です。

まずは「付属揃え」です。付属とは、前立てやポケット、ベルト部分などの所謂細かいパーツの事です。それらを先に揃えて本縫いの準備をします。

船橋が実践して教えております。これは前立て・天狗の裁ち合わせです。

熱心にメモを取っています。

この付属の揃えは生地をカットするだけではなく、ベルトやベルトループなど作れる部分は作ってしまいます。(このあたりの進み方は職人や状況により変わってきますが)

皆さん実践です。初体験の事でなかなかてこずっておりました。

アイロン&ミシン&ミシン
良いですね。

付属の準備が一通り終わるとアイロンによる「くせとり」です。

くせとりも船橋が実践して見せます。

くせとりの意味と理論もきちんと説明しています。

そして、くせとりが終わると次は前身頃にヒザ裏を据えます。
ヒザ裏は表地よりゆとりが多少入っていないと具合が良くないので、ゆとりを入れながら据えていきます。この据え方も職人によって様々ですが、我々はジャケットの芯据え同様、手で生地をこきながら(こすりながら)ゆとりを入れていきます。

このゆとりを入れる塩梅が初めはなかなか難しいので、皆さん何度かやり直しておりました。

そして最後のソプラマーノ(裁ち端の手かがり)を船橋が実践でお見せして終了です。(写真取り忘れました、、、)
今の時代はほとんどがロックミシンで裁ち端を処理するかと思います。我々のお仕立てもBuono仕様ではロックミシンを使用し、手縫いがメインのDistinto仕様では手でかがります。今回はDistinto仕様をお教えする授業ですので、生徒さんにも手でかがってもらいます。
この手かがりはなかなか時間のかかる作業ですので、こちらは次回までの宿題とさせていただきました。

皆さんこの1週間でけっこう復習していただいたみたいで、イタリアの指ぬきを使っての作業が前回に比べ格段に慣れており我々もびっくりしました。

次回3回目は「後ろ玉縁ポケット作り」です。また次週授業の様子をお伝えいたします。

ソプラマーノ(裁ち端手かがり)参考画像
左)ロックミシン 右)手かがり




2016/06/07

Scuola di Sartoria Ypsilon 1回目

先週の土曜日から、サルトリアイプシロンの縫製教室「Scuola di sartoria Ypsilon(スクォ―ラ ディ サルトリアイプシロン)」が始まりました。
全9回のパンツ縫製教室です。

今回は我々も初の試みという事で、ごく少数の定員3名で締め切らせて頂きました。3名の生徒さんに対し3人の職人スタッフ+船橋が教えるというかなり密度の濃い内容です。

では、第1回目の授業風景を少しばかりご紹介です。

1回目のカリキュラムは「仮縫い組みとフィッティング」です。
事前に生地を選んでいただき、採寸、裁断、切り躾まではこちらで用意していましたので、仮縫いを組む作業からが授業の始まりです。

まずは生徒さんに進呈したイタリアの指ぬきや小鋏の使い方、船橋流糸の通し方などから説明です。

皆さんイタリアの指ぬきに慣れていないのと緊張も相まって、初めはなかなかのぎこちなさでした。

船橋による小鋏の持ち方の説明。

皆さん指ぬきにも徐々に慣れていき、授業は順調に進みました。

仮縫い組みはそれこそ全て手で縫うので、技術の訓練にもなりますし、組む順番も本縫いとほぼ変わらずなので作業の上ですごく大事な部分です。

皆さん普段慣れていない作業を4時間余りされたので、少しお疲れだったかと思います。

最後に我々としても初の教室を終えて、船橋の感想です。

兼ねてから懸案であった服作りを教えることが始まりました。
服を縫うことに際しまずはパンツから始まり、その後チョッキ、ジャケット、コートと
言われております。これには意味があり、まずは針使い、くせ取りの意味を理解しながら部分縫いと言われるポケット等パーツを組み合わせる事を学びます。これらが後にジャケットを縫うに際し役に立っていきます。

イプシロンでは基本的にはイタリアの縫いを教えます。使う道具や材料も鋏、毛抜き以外はイタリアのものです。そんなに日本と違うのかと問われますと、縫い方の感性が違うと答えるのが妥当かと思います。ここでは日本とイタリアの違いを発見されることも大きな意味があると思います。授業でそのことを私の知る限り語りたいと思っております。
今回針使いにおきましては、イタリアの指ぬきを使って頂きました。イタリアの指ぬきは指先に付けます。これはより繊細な指使いが出来るのであります。
くせ取りにおきましてはなぜ必要なのか、どの様にするのか細かく説明致しました。4時間あまりの授業でしたが、皆さん結構上手く指ぬきが使いこなされるようになられて驚きました。
授業の最後には組み立てた仮縫いでフィッテングを行い、終わりました。

次回からは本縫いに入ります。基本を教えることを重要視しており、手作業が多くなりますが、この基本から多くを学べる事を確信しております。」


次回はパーツの裁ち合わせなどです。今後もこちらでご紹介していければと思います。